
こんな疑問にお答えします。
私は10年間ウイスキーに携わり、仕事でウイスキーの社外セミナー講師も担当しております。そのような立場から、「ハイボールって何?」についてお答えいたします。
この記事の内容
・ハイボールの定義について紹介
・ハイボールの名前の由来を紹介
・いつからハイボールは流行り始めたの?という歴史の紹介
この記事を読んでいただくと、ハイボールってどんな飲みものか?が分かります。
なお、映像や音声で視聴されたい方は、You Tubeでもラジオ動画形式で紹介しておりますので、ぜひ御覧ください。
文字でご覧になりたい方は、そのままお楽しみくださいませ。
目次
ハイボールの定義ってあるの?
では、改めてハイボールの定義をおさらいしていきましょう。
ハイボールは基本的に、
・お酒をソーダなどの炭酸飲料で割ったもの
・一般的にはウイスキーをソーダで割った飲み方、またはその飲み物
このような定義で表されます。
なぜあえて明確に「ウイスキーのソーダ割り」と明記しないかというと、焼酎をベースにソーダで割った「酎ハイ(チューハイ)」もあるからです。
焼酎ベースに、果物を絞ってソーダで割って飲みやすくした焼酎ハイボールのことを、縮めて「チューハイ」と呼びますからね。
ただ、基本的には、「ウイスキーをソーダで割った飲み方」とおぼえていただいて問題はないです。
ハイボールが流行しだしたのはいつから?
最近、どの居酒屋やレストラン、飲み屋さんに行っても見かけるハイボール。
いつごろからハイボールに人気が出たのか、その経緯や歴史をご存知でしょうか。
実は、ハイボールが流行りだしたのは、ここ数年のことではないんです。
ハイボールのブームは、2回訪れています。
一度目は1953年以降の、第二次世界大戦後です。
日本は敗戦して失意のどん底にあるなか、戦後第一弾として発売されたウイスキーが、サントリーの「トリス」でした。
トリスは戦後まもなく、「うまい・やすい」のキャッチコピーで人々の間で知られ、
「トリスバー」として安く楽しめるバーも普及したほどでした。
そのトリスバーで飲まれていたのが、トリスをソーダで割った「トリスハイボール」なのです。
仕事終わりのサラリーマンが、手頃な値段で楽しめるトリスハイボールを飲めるトリスバーは、戦後広く日本へ普及していきます。
この1950年以降、ハイボールを楽しむ人々が増え、ハイボールブームとなっていました。
そして、2009年から現在のハイボールブームに至ります。
1980年代に酒税の改正により、手頃でウイスキーを親しんでいた人はウイスキーから、手頃な値段で楽しめる焼酎に移っていったのです。
焼酎の水割りが全盛期で飲まれていた時代でした。
今では、ハイボールは懐かしいと感じる人から、新しいと感じる人まで様々。
戦後は、大きめのグラスで濃いめのハイボールを手頃に味わうものが、今ではジョッキを片手にハイボールという新しい文化で、居酒屋をはじめとし人々の生活に浸透していきます。
なお、ハイボールの楽しみ方についても紹介しておりますので、気になる方はYou Tubeのチャンネルも覗いてみてくださいね。
ハイボールの名前の由来は?
これは諸説ありますので、どれが本当かというのはわかっていないです。
それぞれ有名なものを紹介しますね。
ハイボールはゴルフクラブで生まれた説
これが有力なトップ3には入るものになります。
大体の概要はこちら。
・ゴルフクラブで自分の番がくるまで、当時は珍しい飲み方の「ウイスキーのソーダ割り」を飲んでいた紳士がいた。
・だれか下手な人が、ボールを高く打ち上げてしまった。
・それを観ていた紳士は、自分がウイスキーのソーダ割りを飲んでいるときに、ボールが高く上がったのを観て、
「これがハイボールだ!」となった。
これが由来です。うーん、正直良くわからないですよね。だいたい語源とか、由来ってこんなふわりとしたものから生まれているのがほとんどですからね。
ハイボールはアメリカの鉄道で生まれた説
西部開拓時代、蒸気機関車などが主流だったアメリカで生まれた説です。
大体の概要はこちら。
・隣駅の車掌が、自分の駅に電車が来るまで、ウイスキーを飲みながらのんびり待っていた。
・隣駅から電車が出発すると、「ボール信号」という出発を知らせる信号があり、それを車掌が双眼鏡で覗いて確認していた。
・「ボール信号」は球体がぶら下がった簡易的な信号で、ボールが高く上がると出発、下がっていると待機という信号だった。
・隣駅の車掌は、「ボール信号」が上がる(=ボールがハイになる)と、急いでウイスキーをソーダで割って流し込んでいた。
このような流れからウイスキーのソーダ割り=ハイボールとして知られた、というものです。
ゴルフ説よりは、少し分かりやすくなりましたかね?
※ボール信号
ハイボールはその炭酸の泡の形から名前が決まった説
これは、非常にシンプルなものです。
単純に炭酸の泡をボールに見立て、ボール(炭酸の泡)が上がっていく様子から、「ハイボール」というものです。
ただ、あまりにもシンプルすぎるのか、結構ご存じない方も多いです。
また、ある程度歴史を感じる由来の方が人々に語り継がれ、受けやすいのか、あまりこの説を推す方はいらっしゃらないのが現状です。
誰かにこの説を話してみても、「ふーん、結構単純なんだね」で終わってしまうかも知れないですね。
ハイボールは、貴族のダンスから生まれたもの説
「Have a BALL!」=一緒に踊りましょう。
このフレーズから広まっていったもの、という説もあります。最近ではこれがもっとも有力ではないか?と言われています。
昔の裕福な人々が、ボールルーム(舞踏室)のようなおしゃれな場で、お酒を嗜むときの習慣から、ハイボールという名前が生まれたのではないか?という説です。
BALLとはラテン語由来の言葉で、「踊る」という意味も込められています。
カクテルなどを楽しむ背の高いグラスだと、安定性がないし、気分も盛り上がらないことから、しっかりとしたタンブラーにウイスキーを注いで、ソーダで飲んだと言われています。
そしてそのグラスを片手に、パートナーに向けて、「Have a ball」と言って、ダンスに誘うわけです。
そのHave a ball が段々と変化していって、「High ball」になった、という説です。
一番オシャレで、しっくり来るものかも知れませんが、説明が難しいですよね。
これだけ文化や国の違いで、様々なハイボールの諸説というものが生まれているなんて、結構歴史が深いですよね。
ハイボールとは?
基本的には、「ウイスキーのソーダ割り」というシンプルな飲み物です。
ですが、その歴史は深く、いろいろな文化や習慣のなかから生まれたものであることが、よくおわかりいただけたのではないでしょうか。
気軽に飲めるドリンクですが、たまに「なんでハイボールなんだっけ?」と思い返してみてください。
ご友人にも紹介いただいて、みなさんで楽しくハイボールライフをお楽しみくださいね。
You Tubeチャンネルの方でも、おいしいハイボールの作り方なども紹介しております。
ではまた。